「そう、いろんなものを作るには理由があってね」

 

 そう言うと、涙をぬぐい、また元気に話し始めました。

 

「君、メールを見たよね?マルゴーはとっても賢い子で、学校の成績もいいし、本もたくさん読んでいる。あの子にはいろいろ話すことが出来た。あの子が望んでいたからね。

 

 でも、僕が初めに知り合ったのは妹の方さ。彼女は “幸せな人は誰でも、他の人をも幸せにする” って言っていたことがある。その言葉をきいた時、僕はたくさんのものを作ってよかったと思ったよ。

 彼女は僕に力を与えてくれた。彼女は自分が幸せになることに一生懸命だった。それで本当に幸せで、それで僕も幸せになれた。 “幸せな人は誰でも、他の人を幸せにする” ってそのとおりだった。

 

 でも、手紙にもあったように、

“いつか必ず本当の幸せがいつまでも続く平和な国が来ること”を、二人とも期待していたんだけど・・・それはまだ来なかった。

 最後に二人にもう一度たずねた時も、二人はそのことをずっと信じ続けていると言っていた。

 

 だから僕はこうして作り続けている。その時が来るまで、あの二人のような人がいる限り、僕には作り続ける意味がある」

 

 そう言って、男の子はとても寂しそうな顔をしました。自分のやりたいことがほんとうにいいことなのか、それともそうじゃないのか、それを少女にたずねたがっている、そんなふうに聞こえます。

 

 それで少女は、どうしても言わなきゃならない気がして、話し始めました。

 

つづく