このメールは外国から来ているのに、少女の国の言葉になっていました。パソコンだから翻訳も出来るのかな、と思いましたが、それにしてはずいぶんきれいな文章です。

 

 そして、すごく寂しい気がしました。

 

 

 手紙を送ってくれる男の子って誰だろう?なぜ私に送ってくれるんだろう。それに・・・

 

 少女は自分の家を出て、あの並木道の方へ歩いて行きました。

 そこの木々はもう緑一色です。めきめきと葉っぱが育っています。葉っぱの緑色が濃く、大きいので、上を見上げても陽ざしはきらっきらっというぐらいしかやってきません。ですから、しばらく上を見上げていました。

 

「どう?こんな感じもいいだろう?」

 前にいろいろ話してくれた男の子でした。この前と同じように、嬉しそうにしています。

「こんな感じって?」

 少女は急に話しかけられたので思わず聞き返しましたが、その、木々が作り出している感じはとてもいいなあ、と思っていました。

「この緑色は、いろんな働きをしているんだ。たくさんの命を支えるための働きだよ。

 この緑色は陽ざしを受けて、炭水化物と酸素をつくりだす。その炭水化物は君が毎日食べているものだし、酸素は吸っているものだよ。

 この緑色は僕がこの色にきめたんだけど、それはみんながこの色を見ることで安らぐからなんだ。この色をつくるのにいろいろ試みた。それはそれは大変な作業さ。ちょっといじるとずいぶん変わっちゃう。でも君たちの望む色はほんとうに繊細だからね。その望む色を作れた時は嬉しかった。けど、そのままじゃいけなくて、少しずつ変化させることができて初めて完成さ。そんなふうに僕はあらゆるものを作ってきた。そしてそれは、すべて君たちのためさ」

 

 男の子はそう言うと、涙を流しました。

 

つづく