このコミカルな猫がさっそうとみんなの前に進み出ます。 何だか、まともに歩いてはいるのですが、その歩くリズムがおかしいような気がします。みんなの前にまで出てくると、立ち止まり深々とおじぎをしました。おじぎの仕方も少しおかしいような感じです。そ…

大きな黒い体をした雄猫です。ゆらりゆらりと歩いてきますが、その一歩一歩にまわりの猫たちはビクッとします。それほど怖いのです。 その雄猫は皆の前に出ると立ち止まり、四つの足を真っすぐに立て、ライオンのように吠えました。それを見たまわりの猫はい…

この二匹のオスとメスの猫は、泥棒猫です。人間の家から、気づかれないように、ちょっとずつ美味しいものを持ってきます。 メス猫が言いました。 「あたいたちはどんなところにでも忍び込んで、お肉や魚、デザートのフルーツやお菓子を持って来ることができ…

(ミュージカル・キャッツの童話) これはある猫たちの特別な日のお話しです。 人間たちが仕事とか生活とかしているこの街の、見知らぬところ、そこに猫たちは住んでいます。 その街は、高い高いビルがずらりとならんでいて、いろんな照明が光っていて、車も…

「わたし、あなたのやっていること、とてもいいことだと思う」 少女がそういうと、男の子は少し笑顔になりました。 「あなたが作ったものは、私たちが楽しめるようにしてくれているのよね。ほんとにちっちゃいところから、ていねいにていねいにしてくれてい…

「そう、いろんなものを作るには理由があってね」 そう言うと、涙をぬぐい、また元気に話し始めました。 「君、メールを見たよね?マルゴーはとっても賢い子で、学校の成績もいいし、本もたくさん読んでいる。あの子にはいろいろ話すことが出来た。あの子が…

このメールは外国から来ているのに、少女の国の言葉になっていました。パソコンだから翻訳も出来るのかな、と思いましたが、それにしてはずいぶんきれいな文章です。 そして、すごく寂しい気がしました。 手紙を送ってくれる男の子って誰だろう?なぜ私に送…

このメールは、その国から送られてきてます。不思議だなあ、と思いつつ、メールを読んでみました。 「 はじめまして。私はマルゴーと言います。私は13歳で、妹があなたと同じくらいの歳です。 あなたは、私の国を好きになってくれたのかしら。すごく一杯調べ…

少女の目の前には、うす空色のガラス窓がぼわあと見えていて、外は晴れているようです。 最近、世界的な感染症という、人から人へうつる病気がはやりだして、どこにも行けません。でも、少女は部屋の中で本を読んだりしているので、けっこう楽しく過ごしてい…

少女はこの国で一番大きくて裕福な都市に住んでいます。 ある晴れた日に、この都市で一番高い塔を見に行きました。 その塔は遠くからヒュッと建っているのがわかりますが、そこへ行くための電車の中からは見えたり見えなくなったりして、そして、そこへ近づ…

次の日の午前中、並木道をくぐると、きのう見たピンク色の花びらの中に、やわらかい小さな緑色が少しずつ少しずつ混ざり始めています。匂いも、甘い匂いから、みずみずしいはっかのような匂いにかわっています。 少女はその混ざった色をきれいだなあと思って…

甘い匂いのするピンク色の花びらがひらひら・・くるりくるりと舞っています。 少女は忙しい毎日を送っています。それで、いつの間にか、寒い季節が過ぎて、甘い匂いのする季節がやってくるのです。 少女がこの並木道をまっすぐ歩く10分間はこの甘い匂いの下…

童話 1 

少女はいつもここに来ると立ち止まりました。ここは他のところとは違う感じがしたのです。 それは、明るい、熱い、流れる、少しこそばゆい、抱きしめたくなる、そんな空気が充満しているところです。 でも、そこから数歩離れると、もう、そんな空気は感じる…